赤ちゃんグッズは慎重に
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赤ちゃんグッズは慎重に

前稿(PL法と取扱説明書)では、PL対策といっても特別なことではなく、通常の人が合理的な判断のもとで使うことを前提に、業界団体が策定したガイドラインなどを参照して、注意事項を記載すればよいということを述べました。
しかし、とくに慎重を期すべきケースでは、PL訴訟に精通している弁護士に文言をチェックしてもらうことをお勧めしています。PL訴訟に精通しているかどうか実際のところわかりませんが、少なくとも、論理的な整合性、正確な文書作成能力を求められる高度な専門スキルをもつ弁護士に、第三者の目で取扱説明書を客観的かつ批判的に読んでもらい、具体的な指摘を受けることは意味があります。

まだ日本では一般的ではない製品を輸入販売するケースなどは、そこまで慎重を期すべきです。本国のマニュアルを翻訳するだけでは不十分です。まだ使ったことがない製品ですから、常識のある人も想定外の使い方をしてしまうかもしれません。当社では、とくに赤ちゃんグッズ、子ども用グッズには慎重を期しています。

育児経験のある方はおわかりかと思いますが、赤ちゃんは1人で大人2〜3人を振り回すぐらいの威力があります。空腹でもなく、暑くも寒くもなく、どこか痛いわけでなくても、快・不快の感覚がセンシティブなので、わずかに針が「不快」にふれただけで、すさまじいアラーム音を発します。このアラーム音が24時間、時間も曜日もおかまいなしに鳴り響くので、新米ママは緊張と寝不足でグッタリです。

そんな育児の負担を軽くするための便利グッズがどんどん登場しています。抱っこひも、ゆりかご、家具、入浴用品、おもちゃなど、便利な新製品が生まれていますが、使い方によっては「不慮の事故」を招くことがあることを忘れないでください。
交通事故を除くと、「不慮の事故死」の半数は家庭で起きています。原因として多いのは、窒息、溺死、転倒・転落です。そんな事故を招かないよう、製品に欠陥がないことはもちろん、取扱説明書での注意喚起もしっかり行いましょう。 

(太田みえ)